乗車日記

自転車ときのこ

ウィスキーの科学読了

サントリーの見学に行った時に買っていた本。著者はサントリーで長らく研究開発に携わった人。ウィスキーのおいしさについての様々な科学データが示され、そして議論されている。
 一番興味深かったのが、ウィスキーの中でエタノールと水が均一に混ざっているわけではないというラマン測定のデータ。エタノールが疎水基を内側にしてクラスターを作り、その間に挟まった水がまたクラスターを作るという状態になっているというモデルが妥当らしい。これが熟成されたウイスキーのまろやかさの元になっており、このクラスター形成には樽から溶け出してくる成分が必要とのこと。
 水のクラスターについては良く話を聞くが、エタノールクラスタ化し、それらがウィスキーの味に影響しているとはびっくりだ。
 このように分かってきたこともあるが、10年近くかけて熟成の結果はとても測定で簡単に掴めるものではなく、様々な成分の相互作用を考えると気が遠くなるそうだ。ともかくウイスキーへの敬意に満ちた本だ。読んでいると間違いなくウィスキーが飲みたくなる。