乗車日記

自転車ときのこ

天然ゴムの歴史 読了

最後の追い上げ。機械学習の教科書と比較すると10倍ぐらいの速度で読める。自転車につけていたおもりを外したような感じだ。

 天然ゴムがなければ空気入りタイヤは発明されず、従って自動車も自転車も今のようには発展できていないはず。読んでいるとコンチネンタルや、ミシュラン、シュバルベ兄弟、ファイアストン、等々、タイヤでおなじみな名前も出てくる。

 ブラジルから持ち出された種子によって東南アジアでのゴムプランテーションが成功する一方、南アメリカ枯葉病のウィルスのため密集栽培が未だに不可能というのが逆説的で興味深い。19世紀から20世紀の初めには植物からしか作れない重要物質が多く、植物種の確保と移植を行う植物園をロンドン、スリランカ、シンガポールと各地にネットワーク状にもことが大英帝国の強みの一部を形成していたことがよく分かった。また天然ゴムでは100%の割合で1-4シスポリイソプレンとなっているが、人工合成では90~96%しか達成できないそうだ。現状の市場中の天然ゴムの割合は40%程度あり、石油から作る合成ゴムとは違いサステイナブルな点から、今後も重要性を増してくると予想されている。

 この本の後半は少し手を広げ過ぎている気がしたが、ゴムは天然物質であってもリグニンと同様非常に分解されにくく、使用後の処理、リサイクルやリユースが重要という指摘は、自分も頭が痛い。家の裏に山のように古タイヤがたまっている。燃料に使うと高カロリーで良いらしいので、回収して発電所で燃やすシステムを確立できれば良いのにと思う。そうなるとケーシングがスチールのやつは始末に悪いのかも。あるいは二酸化炭素固定だと思えば、このまま埋めてしまうのが良いのだろうか。

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