乗車日記

自転車ときのこ

歴史 下 読了

トゥキディデスの歴史、下巻を読み終えた。BC421の和平条約後のアルゴスの動向をめぐる戦い、BC416のメロス等での虐殺、BC415のシシリア遠征開始、そしてBC413年の遠征軍の壊滅、BC412以降のイオニアの支配をめぐるアテナイペロポネソスの争いとそれを利用してギリシャ人を疲弊させようとするペルシャの画策、等々。ここで記述が終わっており、BC404のアテナイ降伏までは書かれていない。
 訳者による解説によると、トゥキディデスは自分の見出した人の歴史の一般規範を伝えるべく、しかもそれを読者にあからさまに気付かれることなく、事象の記述により、確実に理解させることを目指していたらしい。そのため事象は取捨選択されており、記述されている演説は同じような状況で使われた別のものを使っていたりする形跡があるとのこと。
 そういう意味で、本当にこの本を理解しようとすれば、取捨される前の事象を知り、どこに作者の選択があるかを知る必要がある。しかし、歴史学者でない自分にとっては、むしろ作者が見出した規範を知ることに意味があった。人の欲望と恐怖と力がぶつかり合う所に一般に何が生じうるのか。作者の願いも、それを知れば、同じような状況にあっても、悲惨な結果をより抑える判断ができるだろうから、多くの人にそれを伝えたいというものだったとのこと。
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