乗車日記

自転車ときのこ

火薬のはなし 読了

珍しく軍事色の殆ど無い火薬の解説本。四ヶ月ほど積んであった本だが、先日ぺらぺらとめくっていたら、エアバッグの話が書いてあって、タイムリーなので読むことにした。

で、エアバッグ、膨張したときに有毒ガスが出ないような火薬でないと駄目とのこと。考えてみれば密閉空間なので当たり前か。しかし、通常の炭素と酸素を含んでいるような火薬だと二酸化炭素が出るのでよろしくない。窒素が主体の分子で、分解すると窒素ガスが出るような火薬が使われているとのこと。ただし、それ自体だと発火しないので、アルミ等の金属を酸化させて熱を出すテルミットで加熱するらしい。結構大変な仕組みだ。飛行機の緊急用酸素発生器も、同様にテルミット反応で塩素酸ナトリウムを分解して酸素を出す仕組みとのこと。

その他、面白かったことの一部。

江戸の花火は一八世紀前半から両国でやっていたが、そのころはまん丸でもなく、カラフルでもなかったらしい。丸く開くようになったのも、カリウム等で色が付くようになったのも明治の初め頃からとのこと。

現在は発破でニトログリセリンが使われることはなく、もっと安価な硝酸アンモニウムを使った爆薬が使われるらしい。いわゆるダイナマイトは点火用にのみ使われるとのこと。

同心円状に並べた爆薬に同時に点火して、中心部分に爆発の圧力と温度を集中させることで、中心部に置いた物質を超高温高圧にして分解してしまう技術があるらしい。遺棄化学兵器の安全化処理に非常に役立っているとのこと。

火薬というのは日常的には見かけないようで、実は色々と使われていると言うことを知ることが出来ました。大変内容の濃い本です。ロケットやら、火薬の歴史や、化学反応の基礎なども解説してあります。

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