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乗車日記

自転車ときのこ

東海道中膝栗毛(上)読了

長女が授業か何かで習ったらしく、読みたいという。不適切な内容があるとは聞いていたが、余りに買え買えとうるさいので、どうせ読めないだろうと思って買って置いておいた。しかし、いつの間にか読んでしまったと聞き、遅ればせながら内容チェック。
確かに基本は下ネタと駄洒落と馬鹿話でちょっとまずかったかも知れないが、夜這いなどは全て失敗して笑い話になっており、ダイレクトな表現はないのでその辺りはよく分からないと思われる。
まず驚きは弥次さんと喜多さんの関係。喜多さんは元旅役者で、弥次さんはそれに入れあげた挙げ句、二人で駆け落ちして一緒に暮らしていたとのこと。だが、旅の始まりのあたりでは、喜多さんは元服していてそういう関係ではないようだ。
 上巻は江戸から桑名まで。おかしな掛け合い話しを続けながら旅は続く。途中の名所や名物だけでなく、食べ物や、言葉や、物価なども江戸時代の様子が分かって大変面白い。特に物価。一晩の宿代が料理や風呂付で二百文ぐらい、籠や馬に乗って次の宿場まで行くのに二百文、もちや団子は三から五文、川で肩車をして渡しもらうのに六十文ぐらい。大井川を蓮台で渡るのは四百文と高い。川の渡しは、水かさが多いとか言ってふっかけられ、自分で渡るというと流されて死ぬぞと脅される。結構たちの悪い感じだ。宿は大名行列が入っていると途端に一杯になる。しかし、インフラは十分に揃っていて、特殊な技術がなくても普通に旅が出来たということがよく分かる。
 ただ、道中意気投合した他人にだまされることもある。宿でお金を盗まれたり、一緒に飲んでいて相手がすっと消えて支払いをするはめになったり。そういうときも公権力は全く出てこない。宿屋の親父にはおまえさんが悪いといわれてなっとく、飲み屋詐欺の時も自分の知恵が足りなかったと諦める。お侍はたまに出てくるが、旅をしている人。関所を通ったという記述はあるが、手続きの描写はない。まあ滑稽話なのでそうなのだろうが、この武家の影の薄さは興味深い。
 あと、五右衛門風呂は上方のもので、弥次さんと喜多さんは入り方が分からず、底が熱いので下駄を履いて入ったという記述があった。笑い話なのだが、江戸っ子の読者にはその笑いのつぼが分からない可能性が高いと言うことで、ずいぶん詳しく五右衛門風呂の構造や入浴の仕方が解説してある。その中で、薪が少なくて済み、速く湯が沸くので得だということが二回ぐらい書いてあった。作者および読者層の意識を垣間見ることが出来るようで面白い。やはり読者は商いをしている人が多かったのだろうか。
 意外にすっと読めたので下巻も注文しておいた。上方巡りがまた面白そうだ。
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