乗車日記

自転車ときのこ

コーヒーの科学 読了

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このところ忙しくて、読書メモをさぼっていました。5〜6冊分溜まっています。これは4月の頭に読み終えた本。

コーヒーの品種や構造や香りや抽出や焙煎のことなどが、原理的なところから大変詳しく記述されています。著者は基礎医学の研究者ですが、コーヒーに凝っていて、世界中の文献を読み漁り、自分でも実験をやった上でこの本を書いています。このようなコーヒー本はこれまで目にしたことがなく、コーヒー好きなら間違いなく読む価値があると思います。

全編興味深かったのですが、例えば乾式でうまく発酵させると湿式に比べて成分が薄まらないので良い味が出るとか、日本の缶コーヒーには酵母を使って人工的に発酵させた豆を混ぜたものがあるとか。

また焙煎の原理の説明が詳しくて面白かった。コーヒー豆の細胞は30〜40μmほどの大きさだが、細胞壁がとても分厚い。厚さ5〜7μmもある。細胞壁で囲まれた部屋の中に細胞の本体が乾燥して縮んでおり、残りの空間が空いている状態になっている。加熱するとこの空間に炭酸ガスがたまって圧力が上昇。なので新しい豆はドリップするときに泡がよく出る。ということらしいです。ドリップ時のガスはどういうことで出てくるのかと不思議でしたがようやく原理が理解できました。

また、コーヒーを淹れるときの泡には気体と液体の界面がおおくふくまれているので、ここに疎水性成分や界面活性成分が集まるとか。その結果まずい成分が集まる。フレンチプレスで淹れるときに泡を取るようにとカフェタイムさんに教えてもらい、やってみると確かに格段にコーヒーの純度が上がったと思っていたが、こういう原理に基づくものと初めてわかった。一般のアクというやつも同様のものなのだろうと思う。

それから、ネルドリップは効率優先のアメリカでは消えてしまったとか、ダッチコーヒーは京都で発明されたとかの豆知識も驚きです。ダッチコーヒー、見かけはするものの、よく考えたら飲んだことがありません。低温で抽出された成分が、体温で温まってよく香るとか。今度是非飲んでみたいです。