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乗車日記

自転車ときのこ

円仁 唐代中国への旅 「入唐求法巡礼行記」の研究 読了

最澄の弟子、慈覚大師円仁が遣唐使で唐を訪れた際の日記に関する研究。駐日大使も務められたライシャワー博士の著作であり、もともと英語で書かれたものを日本語に翻訳した本。一歩引いた地点からの説明が分かりやすい。唐の役職名などのややこしいのは省いて、仕事の内容で記述してあったりする。

内容で興味深いのはやたらと形式主義の唐の官僚制と、打ち解け合うと何かと援助してくれる個々の官僚との非対称性、そして国際性。外国人の留学僧にこんなにしてくれるのと驚くぐらい援助してくれる人も多いが、申請文章の形式や論理や表現の美麗さが足りないと上級機関で却下されて帰って来たりする。また新羅人は、国と国とは白村江以来対立しているようだが、仏教信者と高僧という関係で不法滞在の手引きから帰朝の船まで、随分と手伝ってくれている。叡山の麓の赤山禅院の由来は一応は知っていたが、円仁の入唐と新羅人の援助に、これほど深い関係があるとは知らなかった。
それから円仁が長安滞在時に体験した、武宗の仏教弾圧はかなり激しいものだったようだ。とはいえそのおかげで本国追放になったのでようやく帰国の許可が得られたというのも不思議だ。それにしても円仁が持って帰るために複製させて準備していた巨大な両界曼荼羅が、この弾圧の煽りで燃やされてしまったというは大変惜しい。

今回、日記の原文はいくつかの引用されているものだけだったが、大変面白そうなので原著あるいはその日本語訳をぜひ読んでみたい。