乗車日記

自転車ときのこ

トラクターの世界史 読了

アメリカにおけるトラクターの価格と機能、特にユーザーの声をどう新たな昨日に取り入れていくか、の激しい競争と、アメリカに次ぐトラクター保有国でありながら、機会トラクターステーションに集中配備したトラクターの3/4が故障で動かないというソ連との対比が興味深かった。中戦車T-34などはあれほど効率よく動いていたのだから、技術力がなかったわけではないだろうに。
それから、トラクターと戦車はコインの両面ということはある程度理解していたが、農業を効率化して兵士に出せる人数を増やすという意味でも、さらには普段からトラクターの機械運転に慣れていれば、徴兵された時に機械化された戦場にも容易に適応できるという点でも、トラクターと戦争は裏表の関係にあったという考察は興味深いものがあった。
あと、日本の歩行型トラクター、いわゆる耕運機、の開発の中心が岡山と島根であって、そこにはたたら製鉄の流れをくむ鋳造技術の関わりがあったというのは面白かった。

最後にちょっと苦言を呈すると、機械の作製が「作成」になっている箇所が2箇所(p.181, p.185)、真珠湾攻撃が1942年の12月8日と書いてある箇所が1箇所(p.108)。前者はともかく後者は致命的。中公新書の編集者は大丈夫かいなと驚いた。
そういえば以前に読んだ中公新書マッカーサー」でも24ミリ榴弾砲とか15ミリ加農砲とかおかしなことが書いてあったのを覚えている。(重砲についての記述なので、センチの間違いとすぐにわかる。想像だが原稿では「糎」と書いてあったのを、編集者が直す時にミリにしてしまったのか。)
まあ自分も誤字・脱字だらけのブログを書いているので人のことは言えませんが。