乗車日記

自転車ときのこ

江戸の庭園 読了

このシリーズ、「江戸の庭園」の方がかなり前に出版されており、買って持っていたのですが積読状態。結局、「京都の庭園(上)」を読んでから、こちらを読むことになりました。

京都の庭園と全く違うところが多く、面白いです。まず浜御殿とか、海の水を引き入れた庭園があり、釣りをしたりできるとか。驚きです。また旗本たちが生活の足しにするために内職というのはよく聞くのですが、内職の一種として、大久保ではツツジを、御徒町では朝顔を作って売っていたらしいです。あと植木屋の規模と幅の広がりは京都よりもかなり大きいですね。将軍様が結構頻繁に植木屋に行ったり、臣下の屋敷を訪れたりしているのも印象的でした。京都の天皇様は、修学院離宮に行けるのも年2回に制限されていたり、公家は夜には家に必ず戻るように言われていたりという窮屈ぶりとは対照的です。
江戸の町の拡大と、周辺の農村に対する圧迫の議論も興味深いものでした。大名の下屋敷を作るために、農家が強制買い上げで立ち退きをさせられるといった事例が多かったらしいのです。ただ、作られた大名庭園の中に、元いた農家の人がそのまま住んで庭園の手入れを委託されている事例(明治神宮になっている井伊家の下屋敷)や、住んでいて中の田畑で耕作していても良いが殿様が来る日だけは出ていくようにという契約になっている事例(いまは国立自然教育円になっている高松藩下屋敷)などがあるそうで、大名だからと言って完全に無茶が通るわけではないあたりが面白いです。

「京都の庭園(下)」も買ったので今から読みます。