乗車日記

自転車ときのこ

ルイ・ボナパルトのブリュメール18日 読了

「クーデターの技術」を読んだ流れで、詰んであった本の中から出してきて読んだ。クーデターの結果ナポレオン3世となるルイボナパルトのクーデターについてカールマルクスが書いた論評。1851年12月にクーデターがあり、本書の初版の投稿が1852年なのでまさに同時代。175ページの短い本だが、何だか読みにくくて二週間ぐらいかかってしまった。
 昔の本なので仕方がないのだが、やたらと古典を使った比喩が多く、それで説明に代えている。正面から論理的に誰にでもわかるように説明しようという気が感じられず、読む気が萎える。重要な場面展開が説明なしに生じるのも困る。たぶんもともと現在進行中の事件の解説なので読者が状況をよく知っている前提になっていて、説明は省かれているのだと思う。経済循環関連の説明だけはとてもわかりやすい。また、モデルの枠組みを先に作ってそれに当てはめていくやり方がどうも自分の性に合わない。ルイボナパルトを山師と決めてかかって当て擦りを繰り返している感じがする。もう少し冷静に、かつ比喩を使わずに論理的に記述してくれれば、もっと興味深く読めたと思うのだが。まあでもこれは自分がマルクスの想定して読者ではないだけかもしれない。
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