乗車日記

自転車ときのこ

遠い崖第2巻読了

先日の下鴨古本市で購入した本。偶然手に入れたのですが、予想外に面白い本でした。こういうことはネット通販では起こり得ないことですね。
サトウ氏の日記だけでなく、当時の外交文書や他の在日外国人の日記や書簡などを駆使して、外部から見た幕末を描き出しています。
薩英戦争で鹿児島市街を焼いたことが、イギリス議会で大問題になっていたことは知りませんでした。また下関戦争の着眼点がアヘン戦争の時と同様で、一点を叩くことで大きく情勢を変えられるポイントを冷静に見ていることなど、イギリス外交の深さを感じました。私は単なる報復攻撃なのだと認識していたのですが、英国公使オールコック氏の戦略はそうではなくて、幕府支援および全国的な攘夷派の考え方の転換による貿易促進を狙っていたようです。下関戦争の後、サトウ氏が長州の正義派と仲良くなって、イギリス外交が幕府一辺倒から外れていくのに対して、他に情報源がなかったフランスが幕府支援を徹底する視点しかなかったというあたりも興味深いです。
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早速3,4巻目も注文しました。