乗車日記

自転車ときのこ

蒙古襲来 読了

引き続き図書館で借りた本。鎌倉幕府についてはいくつか読んできたが、蒙古襲来をメインにした本を読むのは初めて。訴訟と江南軍についての詳しい話が特に印象的だった。
 警備のため非御家人まで動員した結果、彼らも恩賞の対象となり、かつ討死で相続争いも激増し、裁判件数が激増してパンクしてしまい、何年も恩賞が出なくて不満がたまったとのこと。政権中枢の人がいちいち関係者の話を聞いて決めていたようなので、それは大変なことだっただろう。加えて異国警備のために、瀬戸内航路(船を動員する必要があった)や本庄一円のような公家政権の領域へも様々に権力を行使していった反動が、最終的には幕府の崩壊につながっていったというのが筆者の見解。
 江南軍については、よくよく考えてみると13世紀に10万人の人間を江南から九州まで輸送できるいうのはすごい技術と組織力だ。本書では、船について沈没船をもとに詳しい情報が記述されており、大変面白かった。
 また江南軍はやって来てすぐに台風でやられたのだと思っていたが、7月初旬にやってきて7月末まで上陸せずにうろうろしていたらしい。この時期に一か月弱あれば必ず台風が一つは来るはずで、大変まずいやり方といえる。モンゴル人、南宋人、高麗人のあつまりなのだから、いろいろと内部事情もあったのだろう。ぜひ知りたいところだが、何も残っていないようだ。