乗車日記

自転車ときのこ

読了 怪異の政治社会学

太平記に頻出する天狗についてもっと知るのに良いかと思って購入。実は9月9日に読み終わっていた。
内容は寺社が発する怪異現象の訴えと、それに応答する権力や都市住民の間の、半ば無意識、半ばパフォーマンス的なやり取りが寺社の利益確保だけでなく、社会の安定にも寄与していたというような議論。
天狗については、実は太平記に一番よく記述があり、その後は下火になるとのこと。ただし、もっと現実的な、誰々が物狂いになって逐電とか、謀反とかいう話がリアルタイムで流れていたらしい。細川政元関連のエピソードが興味深い。
また応仁の乱に以前の室町政権が武家と公家が双方ともに京都に在することで強力な権力基盤を形成しており、それ故に政権に対するメッセージの発信として怪異が横行したという議論は面白かった。
同じテーゼを様々な面から議論しているせいか、若干記述が膨らみすぎな印象を受けたが、これは私が途切れ途切れに読んだせいかもしれない。もう一度ゆっくり読み直してみたい。

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