乗車日記

自転車ときのこ

ザ・コールデスト・ウィンター上巻読了

米国の著名ジャーナリストによる朝鮮戦争のドキュメント。日本では当然のことながらある程度の注目度がある朝鮮戦争だが、米国では二次大戦とベトナムの間で忘れられた状態にあるそうだ。それを改めて社会に示し、問い直したいというのが著者の動機と読める。
 全体の基調となっているのは、上層部の政治的な思惑による決定によって翻弄され犠牲を払う現場の兵士という構図に対する怒り。戦場の状況だけでなく、アメリカ本国および東京の極東司令部での駆け引きが詳細に記述してある。
 特に力説されているのが、マッカーサーが事実上、大統領もコントロールできない状態にあったこと。政府によって制御出来ない軍というのは、近代においては日本の関東軍ぐらいかと思っていたが、東京司令部も相当ひどい状況だったようだ。仁川上陸作戦の計画詳細が統合参謀本部に報告されたのが上陸の6時間前というから驚きだ。
 戦場となった半島に暮らしていた人々についての記述が殆どないのが残念で悲しいが、米国から見ると遠い国ということを意味しているのだろうか。
 下巻では中国軍の参戦後の状況が記述されている。さらに読み進めたい。