乗車日記

自転車ときのこ

醜聞の作法

あれから考えてみたが、この本で作者の描きたかったのは直接的に表面に現れているストーリーではなく、18世紀末のフランスにおけるパンフレットというものが占めた役割そのものではないだろうか。文士への依頼から、印刷・製本、日本の瓦版のような街角での販売、そしてそれを読んだ人からカフェでの会話を通して口づてて伝わるうわさ話、そういった過程が詳しく描かれている。これらの過程によって、字を読めない人たちにも情報が伝わって行く。フランス革命の主要ポイントにもパンフレット(や新聞)が多数でてくるが、このような効率的な情報伝達システムがあって初めて、多数の人が参加する革命が可能になったのではないかと思う。