乗車日記

自転車ときのこ

和算の歴史読了

断片的にしか知らないので読んでみた。暦の策定や幕末の国防への要請を除き、特に実用的な要請なしに高度に発達したところが興味深い。現代の数学パズルのような感じで一般庶民も問題に取り組んでおり、通信教育まであったとのこと。今の数学とは違い、美しい問題と美しい解答を探すのが目的で、直感が尊重されダラダラしたとした証明は評価が低かったらしい。ゆえに当時の国内の感覚としては、西洋や中国の数学よりも和算の方が優れているという意識だったということには驚かされた。
 図形や三角法に関してかなりの高いレベルにあったのに、関数や座標の概念がなく、記号も発達せず、なによりも自然科学とまったくリンクすることがなかったというのは不思議だ。ただその分、直感によって恐ろしく難しい問題を解いていたようだ。また、数学というのは何語で語っても数学かと思っていたが、異なる記号や表現で示されるだけで、素人にはまったく違うことを語っているように見えてしまう。これはかなりの驚きだった。