乗車日記

自転車ときのこ

10万年の世界経済史上巻読了

新石器時代から現代までの経済史をシンプルな原理で解説している。上巻では産業革命以前の時代まで。
 この時代までは土地や資源の制約から、人口が増えるほど生産効率が落ちて、生き延びるのに必要な労働時間が増えるという状態だったらしい。技術が少し進歩すると、一時的に取り分は増えるが、ちょっと暮らしが楽になると、その結果人口が増えてまた効率が落ちる。いつまで経っても元の取り分に戻る。マルサス的均衡状態というらしい。
 それが様々な定量データで示されているのには驚いた。例えば英国ではノルマンコクエスト以降の借地料や小麦価格や職人の賃金などの資料が残されており、そこから丹念に状況が再現されていた。ペストで人口が一時的に激減した時期には一人当たりの所得が増えているが、それ以外の時期を見ると、600年間賃金は同じレベル。その上、小麦換算で古代バビロニアと1800年の英国を比べても賃金は同じレベル。
 下巻はそのあと産業革命によって状況が大きく変わったという話になるようだ。