乗車日記

自転車ときのこ

バウドリーノ下巻読了

下巻をやっと読み終えた。大変楽しかった。
 下巻はがらりと変わって、中世西洋人の想像した東洋世界での冒険が中心。首がなくて胸に目のあるプレミエス族、一本足で高速に移動するスキアポデス族等が暮らす世界。彼等は互いの身体の違いを髪の毛の色の違いぐらいにしか思っていないのだが、何故かそれぞれに初期キリスト教の様々なセクトの一つを信奉しており、端から見れば至極些細な概念の違いを罵り合って互いに仲が悪い。
 ローマ帝国衰亡史の最初の二巻ぐらいが延々キリスト教の異端論争だったのを思い出す。ローマ世界の一つのパロディなのだろうか?あるいは我々現代人のパロディか?上巻では神聖ローマ帝国の創造、そしてコンスタンチノープルのローマ帝国との軋轢もちりばめられており、ローマというものが一つのテーマになっているのも確かだ。
 何れにせよ多重に意味が繰り込まれていることは間違いないので、一筋縄ではいかない。その他にも円卓の騎士と聖盃、千夜一夜物語に、山の長老派、様々なモチーフが連想を呼んで、読んでいて頭がくらくらする。とぎれとぎれに読んでしまったが。機会があればもう一度一気に読み通したい。