乗車日記

自転車ときのこ

幕末維新変革史 下巻 読了

3月が忙しかったのでずいぶんと時間がかかってしまった。最初から後知恵的な枠をはめ込むような記述ではなく、関わった様々な個々人の残した手紙や日記やその他の記録などの一次資料を主体として、当時の雰囲気、考え方、人間関係、事態の流れなどを再構築してゆくやり方を徹底していることに感銘を受けた。ただ、維新政権の初期の記述で一時的に「政府は・・・」が繰り返される部分があり、他が徹底しているだけに奇妙に感じ、すこしフラストレーションが溜まるところもあった。また限界点としては、記録を残せないような人々のことを拾い上げるのは難しいということは常にある。
 全体的には封建制というものが個人を縛るその重さと、それによる限界がひしひしと感じられた。また、改めて通しでみると、生麦事件から第一次長州征伐までの期間は、一つ歯車が狂えばどうにでも転んでいたような印象を持った。長州や薩摩より先に、偶発的に幕府が対外戦争を経験していれば事態はまた変わっていたかもしれない。後知恵的には、結局、狂気があったどうかというところだろうか。
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