乗車日記

自転車ときのこ

新ローマ帝国衰亡史 読了

4世紀半ばのコンスタンティヌス大帝やユリアヌスの時代まで強勢を保っていたローマ帝国が、4世紀後半から指数関数的に衰退していく様子が鮮やかに描かれている。

 その原因としては、フロンティアにおけるローマアイデンティティの喪失、ローマ社会の不寛容化、ローマ的生活の魅力の喪失(ゲルマン諸族のエスニシティの向上を含む)、ことなどが論考されている。

 そもそも、他者を受け入れることで発展してきたローマなので、それが反転すると一気にばらばらになるという考えは興味深い。またローマの衰亡を考える上で、中心部よりもフロンティアを重視し、そこにローマ軍団が駐留していたことの意義を重く見る考えにもうなずける。

 さらっと読んでしまったので、もう一度精読してみたい。また、新書では粗筋のような感じなので、是非とも著者の他の書物も読んでみたい。

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