太平記の第二分冊がなかなか出ないので、代わりに関連書を読む。
朝廷を支配するにはさまざまな有職故実を知り、さまざまな儀式の振り付けが出来ないといけないようで、意外に大変であるということを改めて認識。何かというと戦を起こす武家を手なずけながら、どちらもやり遂げていることは、やはり並々ならぬ才能だったのだろう。
皇位簒奪を企んでいたという説については反論がなされている。事実としては、後円融院崩御の後は、後小松帝に対する義満の院政に近い状態だったとのこと。また、上皇に贈られる太上天皇号も要求していたが、これは朝廷にうまく躱されていたらしい。ただし、義満一代が衰退した北朝に対して上皇と見まがうばかりの権力を振っていても、皇統をすげ替えるというようなことは全くあり得ないというのが本書の結論である。明の国書うんぬんの話があるにしても、私も本書の議論が妥当ではないかと思う。
しかし、そういいつつ、20年ぐらい前にNHKの番組か何かで皇位簒奪説を聞いたときは、そんなこともあるかも知れないという印象をもったのをはっきりと覚えている。いい加減なものだ。