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乗車日記

自転車ときのこ

とはずがたり 読了

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連休を利用して読み進め、先の日曜日にようやく読了。原文を読み、現代語訳を読み、また同じところの原文を読むというような読解力レベルなので、時間がかかりました。特に露わに主語がない文は厳しいです。述語の尊敬・謙譲語の使い方と、文脈で主体を理解せねばならない上に、その主体ががころっと変わることが多く、そういう区間はほぼ訳に頼りっぱなしでした。和歌も語彙・背景知識がたりず、なかなかに読み解けません
 鎌倉時代の後期ごろ、後深草帝に育てられ、深い契りを交わした、二条という女性の手記です。二十六歳で宮廷を去り、三十歳ぐらいで出家、そして西行に憧れて各地を行脚。
 前半の宮廷生活と、後半の出家後の生活の対照が劇的です。最初のうち、なぜ問われもしないのに、愛人二人のことも含めた薄氷を踏むような過去を露わに書いているのか不明でしたが、読み進めているうちになんとなく分かってきました。後深草帝・院との思い出を残しておきたかったのだと思います。
 それにしてもこの作者、生まれてこのかた上流階級の暮らしをしていたのに、出家後は歩いて鎌倉、善光寺、四国と渡り歩き、草堂に寝泊まり。相当の体力と精神力です。上皇に仕えているいる時分にも、祖父に侮りを受けて御所を飛び出し、山寺に延々と隠れていたという記述もあり、意志の強さというか意地っ張りなのは若い時からのことのようですが。
 この本を手に取ることになったきっかけは、武士の成立過程について書いた本の中に、とはずがたりが引用されていたことでした。行脚の最中に備後国のとある武士の家に滞在した時の、家の様子、当主の振る舞いなどが、とはずがたりに記されていて、これが当時の地方武士の様子を知る重要な資料になっていると。鎌倉や備後の様子を書いたあたりも面白かったですし、また手記の前半はまったくそれとは異なる世界でしたが、それもまた楽しめました。
 それにしても、もう少し訳に頼らず読めるようになりたいものです。また、何度取り組んでも挫折ばかりの崩し字の読み解き。。。