乗車日記

自転車ときのこ

北畠親房読了

ミネルヴァ書房の日本評伝シリーズ「北畠親房」を読了。南朝において指導的役割を果たした公卿。本人の書いた多数の書状、著作を中心とする古文書に精緻な分析を加えることで人物像を描いた評伝で大変面白かった。
武家はあくまで政治に介入するべきでないという信念を生涯貫いた南朝の主戦派の中心ということを改めて認識。京都から追い出されて陸奥、伊勢、常陸といった地方に出て南朝のために働き出したのが、41才になってからということ。乱世において、40才を過ぎてから全く新しい環境で仕事を始めるというのは大変なことだろう。
また常陸国での戦いの最中に著した神皇正統記が、奇しくも、あるいはそれゆえに同じ水戸で後に編纂された大日本史の枠組みに影響を与え、それが倒幕運動、明治維新にも影響を与えたいう結びが印象的だった。
ところでこのミネルヴァ書房、ライドの帰りによく通る三条通りを山科に入ってすぐの所にある。あるのは前から知っていたが、今回、初めて本を買った。何だか凄い。日本評伝シリーズでは400人分もの評伝を計画しているようだ。シャクシャイン、真田氏三代、等々、興味深いものが予定表に沢山載っている。全部読むには時間がないだろうが。