乗車日記

自転車ときのこ

怪帝ナポレオン三世読了

ナポレオンものを読んできた勢いで三世のほうも読んでみた。この本のテーマはナポレオン三世=馬鹿説を検証するというもの。
 自分も、セダンで負けて捕虜になったことと、パリを改造したことぐらいしか知らなかったので大変興味深く読めた。
 下層階級の生活改善を生涯のテーマにして、サンシモン主義に基づく産業発展による貧困の根絶を目指すなど、単純な人物ではないようだ。普仏戦争は、本人は負けると知っていたのでやりたくなかったらしい。後期帝政時代に権威主義から自由主義に転換したことが禍となって、スペインの王位継承へのプロイセンの介入に対する世論の激昂を抑えられなくなり、やむなく開戦したとのこと。
 むしろ、投資銀行の設立等によってフランスの資本主義発展の基礎を作り、労働運動の立ち上げに手を貸し、パリを改造して衛生状況の改善を目指すなど、評価できる点が多い。ひたすら戦争をしていた一世よりも、ずっとフランスにとって良いことをしているようだが、人気が全然ないというのは可哀相だ。