乗車日記

自転車ときのこ

現代税制改革史読了

新聞の書評で見てページ数も確認せずに注文し、なんだか読み終わるのに3年近くかかった。シャウプ税制以来の日本の税制の変遷が大蔵省の内部資料なども使いつつ詳しく解説されている。
 税金というのはだんだんと増えているような気がするのだが、実際は所得税は戦後を通じて延々と減税が続いているようだ。(消費税を除く。)そもそも累進制度の下で、GDPが増加しているならば、すべての国民が自動的に累進の階段を上って増税になるので、高度成長期に減税は必須だったとのこと。
 その他、知らないことばかりだったが、80年代に議論されたという支出税の概念は特に新鮮だった。いわく、お金を使うことは社会全体で作り出した財・サービスのストックを引き出すことである。よって使ったお金の量に応じて税金をかけるほうが合理的である。逆に所得の多い人は、所得に比例して社会の財やサービスのストックを増やしたのだから、所得に応じて税金をとるというのは不合理だ。
 まあいろいろ穴があって現実には使えない考え方のようだが。所得税と全く逆の発想があるということに驚いた。
 それから、バブルの頃の地価高騰対策税制などは、いまから思えば懐かしい。あの頃は東京を売ればアメリカ全土が買えるとか言っていた覚えがある。おかしいのに気づきそうなものだが、みんなそれで当たり前だと思っていたような気がする。
 実際のところ消化できていない部分も多いので、もう一度読みたいところだが、また3年かかりそうなのでやめておこう。