タックスヘイブンへの租税回避と、それに対抗するための租税引き下げ競争による税の逆進性の加速というどうしようも無い流れに対処するには、主権国家の領域を超えた課税権力が必要なのは明らか。でも実際のところどうしようも無いのかと思っていたが、少しずつ反撃の準備が進められていると知った。これなら子供たちにも、少しは未来に希望を持っても良いと伝えることができる。
100年前の戦間期に形成された国際課税の枠組みは製造業を対象とするものであり、有形資産がないと課税ができない。無形資産に重心が移ってきた現代の産業に対応できていないところに、もう一つの問題点がある。OECDにおける国際課税枠組みの見直しによって、グローバル企業のトータルの利益を売り上げに従って配分する形で課税する国際協調体制が可能になれば、タックスヘイブンへの利益移転も無意味になり、租税引き下げ競争にも歯止めがかかる。今年中だった合意予定は新型コロナウィルスの影響で来年に持ち越されるようだが、まともな世界へと戻すため努力が進められているのは心強い。