乗車日記

自転車ときのこ

住吉信仰 読了

昨日は1日ごろごろ本を読んでいた。これは昨年龍谷ミュージアムで「水 神秘の形」という特別展に行った時に買った本。こう言う本は普通に過ごしていると出会わない。円仁の日記で遣唐使船の人達が第一に祈っているのが住吉明神だったので、スタックから取り出した。
自分の実家の神戸市垂水区にある海神社も海の神様だけど、住吉明神とは系統が少し違うらしい。イザナギノミコトが黄泉の国の穢れをすすいだ時に海の中から出現した神のうち、ワタツミ神が安曇氏の祀るところで海神社、ツツノオ神が住吉神ということ。本家は対馬らしい。応神天皇にまつわる創建の話から、平安貴族からの尊崇、和歌の守護神としての歴史、江戸期に入ってからの廻船業者からの尊崇、そして明治以降現代の状況まで。かなり網羅的に取り扱われている。
色々と興味深いことが書いてあったが、最も気に入ったのは住吉大社から毎年、大和の畝傍山に埴土を貰いに使者が出ているという話。山頂の特定の樫の木の根元からしか取れず、地質と木の相互作用によって得られる陶土に遥かな昔から霊力を感じ、古くは大和の祭祀権を決定する呪力があったらしい。大切に守られてきた儀式と古い文献の記述と考古学的遺留物から広がる推論は大変面白い。筆者はこのテーマだけで一冊の本を執筆されているらしいので是非ともそちらも読んでみたい。
最後に摂末社の紹介も丁寧にしてあった。その中で大歳神社のそれが特に面白かった。収穫の神様ということで、近世になって集金に御利益があるとされ、この神に祈っていると、季節ごとに売掛金が速やかに集まるという。随分と合理的な神徳で、商売人さんたちがみんな回収に苦労していたのだろうということが感じられる。
そう言えば住吉大社は前を何度も通ったことはあるけど、入ったことはない。遠いのでなかなか機会はないけど、是非一度は尋ねてみたい。

雪山カフェ

昨晩から雪は降ったようだけど、家の前の道は全く大丈夫だったので、昨日予告のあった雪山カフェへ。天候を考慮して今日は少し遅出。7時出発です。桂川河畔は薄っすらと積もっています。

北に向かうにつれて雪は増え、丸太町あたりで歩道は雪に埋もれ、今出川を越えると車道にも雪が残る状態に。まあ何とか集合場所に到着。集まったのは主催者を含めて四名。
舗装路で峠まで登れるかどうかが一番の問題でしたが、集合場所でタイヤの空気圧を1.1気圧まで下げたので、問題なくクリア。

シングルトラックは積雪数cmから10cmぐらい。

滑ってちょっと怖いし、こけた時のダメージは吸収できないというという状態。気をつけて走ります。

見晴らしポイントからは白い京都が望めます。

池は凍ってはいませんでした。

カフェIcchi開店。


コーヒーとベーグルを頂いて、ほっと一息。美味しかったです。

動いている間は気がつきませんでしたが、じっとしていると随分と寒いです。そう言えば麓の温度計はマイナス3℃を指していました。

あとは少し昇って、表側に降り、11時過ぎに帰宅。風呂に入ってから、昼寝と読書。

1812年の雪 読了

ファンドーリンと五色の虹からのロシアつながりで積んであったナポレオンのロシア遠征の本を読んだ。
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このテーマは以前に「補給戦」および「コレンクール将軍回想録」でも読んだことがある。
それはともかく、本書の特徴は「ブルゴーニュ軍曹の回想録」の抜粋その他、生き残った人たちの言葉を多く紹介している点。ブルゴーニュ軍曹は近衛兵としてロシア遠征に参加し、生きて帰ってきた人。40万人以上が侵攻して、軍隊の体をなして帰ってきたのが5千人というから、余程の事だ。
コレンクール回想録では逃亡した兵が多いような印象を受けたが、それはどうもボロディのあたりまで。この時点で12万人まで減っている。市民の殆どが脱出してもぬけの殻だったモスクワでは略奪し放題で、金貨やら銀塊やら毛皮やらを誰もが大量に仕入れていたが、ロシア側は無視。冬が迫る中、ペテルブルクに進軍するわけにもいかず、10月19日なってから撤退。これからが酷い。零下20℃、30℃の夜もあり、建物を見つけられなかった兵たちがどんどん凍死して行く。勿論馬も、民間人も。ともかく酷い。
そんな中で、上記のブルゴーニュ軍曹がポーランドの農家に世話になって、モスクワでの略奪品を気前よく振る舞う話は唯一心休まる。そんな恐ろしい寒さの中でも、家や服がきちんとしていれば暮らしていけるというのにも驚くが。
最後のベレジナ川に工兵隊400名が流氷も漂う極寒の中、泳いで入って仮設橋を架ける話は悲壮だ。この仮設橋のおかげで数万人が助かったが指揮官エブレ将軍を始め多くの工兵が肺炎のため亡くなったという。
ともかく、心が凍りつくような話が殆どだが、この敗戦をフランス国内で知らせる大陸軍広報第29号の最後が「皇帝の健康は最良の状態にあり」で終わっているというのは更に恐ろしい。
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