乗車日記

自転車ときのこ

読了、ブッダという男。

現代の理想の投影をやめて、初期仏教徒ブッダをどのように理解していたのか、そして古代社会の制限を認めた上で何が先駆的であったのかなどを分析・議論している本。人の全体を統括する我はないという点は受動意識仮説と共通し、自分の考えと一致する。しかし、無我でなぜ輪廻し得ると言えるのかをまだ理解できていないので、もう少し本を読んでみようと思う。

読了、世界哲学のすすめ。

読了、世界哲学のすすめ。ギリシャに始まる西洋哲学だけが普遍という考え方を超えて、様々な地域の言語・歴史・文化・生活に根ざした哲学も含めて普遍性を追求する試みの開始を告げる本。この本の中でubuntuがアフリカ哲学の根の一つであることを知った。ubuntuでは真理を生き、時間を生きるらしい。そもそもこの本を手に取ったのは以前に「存在と時間」を読んだ時に随分be動詞に依存しているなと感じたことへの答えがあるかもしれないと思ったから。安直な答えは得られなかったが、思考の言語依存性について問題提起がされていた。その象徴がミリンダ王の問い。アレクサンダー大王の建設した東方ギリシャ系王国の王、ギリシャ哲学の徒ミリンダと、北西インドの仏教僧ナーガセーナの問答。魂が存在するのかしないのかの問答などが繰り広げられるが、そもそも訳語の問題で議論に混乱が生じていると思われるそうだ。スリランカに残るパーリ語本と漢訳本を照らし合わせると色々と見えてくるらしい。このあたり、まだ自分では咀嚼できていないが、本書の著者が編集している世界哲学史も購入したので、他の部分も含めてぼちぼち勉強していきたい。

読了、三井大坂両替店

読了、三井大坂両替店。借主の実直さ誠実さなどの人柄・評判が評価・審査の第一基準だったというのが意外でした。担保が十分確保できても、人柄・評判の面で審査に通らない例が多い。そもそも、三井の金融業の源は、不当たりが出た時、幕府債権が特別に優先的に回収されることを利用して、幕府の送金に使う為替に偽装する形でお金を貸していたことにあり、確実に回収できるので低利で貸し出しができて有利だったということです。しかしそれでも、かなり徹底的に人柄、担保、商売の状況、親戚の様子、家庭内の不和、遊郭通いで浪費していないか、米相場に手を出していないかなどなど、色々調べてかなり厳選して貸出をしています。他にも三井の人事・給与体系、手代への遊興補助・統制や当時の経済社会制度などが色々と分析されています。