乗車日記

自転車ときのこ

読了、世界哲学のすすめ。

読了、世界哲学のすすめ。ギリシャに始まる西洋哲学だけが普遍という考え方を超えて、様々な地域の言語・歴史・文化・生活に根ざした哲学も含めて普遍性を追求する試みの開始を告げる本。この本の中でubuntuがアフリカ哲学の根の一つであることを知った。ubuntuでは真理を生き、時間を生きるらしい。そもそもこの本を手に取ったのは以前に「存在と時間」を読んだ時に随分be動詞に依存しているなと感じたことへの答えがあるかもしれないと思ったから。安直な答えは得られなかったが、思考の言語依存性について問題提起がされていた。その象徴がミリンダ王の問い。アレクサンダー大王の建設した東方ギリシャ系王国の王、ギリシャ哲学の徒ミリンダと、北西インドの仏教僧ナーガセーナの問答。魂が存在するのかしないのかの問答などが繰り広げられるが、そもそも訳語の問題で議論に混乱が生じていると思われるそうだ。スリランカに残るパーリ語本と漢訳本を照らし合わせると色々と見えてくるらしい。このあたり、まだ自分では咀嚼できていないが、本書の著者が編集している世界哲学史も購入したので、他の部分も含めてぼちぼち勉強していきたい。