乗車日記

自転車ときのこ

ペロポネソス戦争

トゥキディデスの歴史を読んでいて、沢山出てくる都市の位置がよく分からず困っていた。断片的な白黒地図は載せてくれているのだが、なかなか全体像がつかめない。付属の地図では地形の高低が分からない。そして全体図には位置が記されていない都市があり、拡大図では他の主要都市との関係が分かにくい。この手の本を読むときにはいつもつきまとう問題。 

 今日の夕方、ふと、昔購入したゲームのことを思い出した。Victory GamesのPeloponnesian War。1991年に発売されてすぐに購入したはずのもの。なかなか暇が無く、一人用ゲームと言うこともあって死蔵されていた。

 押し入れを探して箱を取り出し、明けてみると見事な地図が入っていた。ギリシャポリス、トラキアマケドニアの都市、アジア、シシリア等々、必要なところは全て入っている。よく考えればこのゲーム、トゥキディデスの歴史を含むギリシャ文献を元にして作られているはずだから、本に出てくる主要な地名が全て網羅されていて当然といえば当然。これを見ながら本を読むとこれまでの10倍以上良く理解できる。

 シミュレーションゲームに起こすためには都市間の距離、地形の高低、海路の接続関係などが無ければ話にならない。それはつまり、人と人の関係と同様に地理状況のデータが無ければ当時のことを思い描けないことを意味している。

 歴史書というものの意味も同じようなものなのだから、文章と注だけでなく、地図にも30%以上の力を注いで欲しいものだと思う。いろいろな本を見ていると、どうもおまけ程度の軽い位置づけになっていることが多い。しかし実際の所、Geopolikをあげるまでもなく、地理関係というのは歴史の核心に迫る重要な部分なのではないだろうか。

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