乗車日記

自転車ときのこ

体の中の異物「毒」の科学 読了

他にも読み終えた本がたくさん溜まっているので、手短に。
脂溶性の毒性分子の方が、水溶性の毒性分子よりも体の中に取り込まれやすいと知った。水溶性のものは、脂質二重層である細胞膜を通り抜けられないので、腸の細胞を通って血管へとむやみに不要なものが入ってくる率は少ない。(必要な栄養素については、それぞれを認識して取り込むタンパク質が存在する。)しかし脂溶性のものは細胞膜を透過できるので、勝手に体の中に入ってしまう。言われてみれば原理的にそうだけれど、そういうふうに考えたことがなかった。
解毒というのも、水溶性のものは低分子量のものを吐き出して必要なものだけ認識して回収、残りは尿へ排出というのが基本らしい。肝臓の働きは、脂溶性の異物の場合、OH基をくっつけたりして水溶性にして、あとは上と同様ということ。ただ、今話題のベンゼンはOH基が2つ対称な位置にくっつくと、骨髄に運ばれてそこで白血病を引き起こすらしい。
ほかにも安全基準がどう決まっているかなど、大変興味深い話題が多かった。ちなみに急性中毒では
エタノール600gを体重60Kgの人が短時間に摂取すると半数が死亡するとのこと。でもこれはラットの実験から決めた値なので、人間だと本当はもっと少ない量でも死ぬ可能性があると書いてあった。