乗車日記

自転車ときのこ

完訳フロイス日本史1 読了

エスズ会総長の指示を受けて、ルイスフロイスが1583年から執筆を開始した日本布教史。何とそのあと出版されず、1850年までマカオのイエスズ会学院に保管されたままだったらしい。本来はフランシスコザビエルの日本上陸から始まっているが、読者の興味を考えて畿内布教が始まるところから翻訳を始めたとのこと。
私にとっては異文化交流史として、そして当時の畿内の様子が分かるという点で大変興味深い。特に外国人の視点なので、日本人だと当たり前すぎて書かないようなことが記述してあるのが良い。
最初に都にやってきたガスパルヴィレラ師が家を探すのですが、外国人ということで家主がみんな嫌がるのでろくな物件がなく、四条烏丸の掘っ建て小屋を借りることになり、近所の悪ガキが騒ぎ立てたり石を投げたりで大変だったとか、ずいぶん詳細に書いてあります。枚方に大きな湖が残っていたり、三好長慶松永久秀も説教を聞いていたり、沢山の仏教僧が宗教論争をするためにやってきたり、まあともかく割と生活をそのまま書いている感じもあって、小説のように躍動感があります。
宣教師たちも色々な寺社の見物をしていて、大徳寺金閣寺等持院三十三間堂東福寺、岩清水八幡、それから奈良にも行って興福寺東大寺春日大社、等々が出てきます。特にアルメイダ修道士が 2度目に焼ける前の大仏殿を訪れた時の記述には感動しました。
宗教対立があるのに訪問は普通にできたようです。僧との論争も、割りと理性的に説得しあっている感じで、狂信的な人はあまり出てこないです。まあ、弘法大使のことを「悪魔のような僧」と書いてあったのにはちょっと驚きましたが。
全巻読めるかどうかわかりませんが、次の巻に進みたいと思います。