最近読書メモをサボっていて、いつ読んだか忘れてしまいそうなのでとりあえずアップして、簡単にメモ。
白亜紀の生物は表紙にもあるように異形のアンモナイトたちが一番インパクトがあった。細長いやつとか、グニャグニャ曲がっているやつとか、渦巻きだけどくっついていないゼンマイみたいなやつとか。進化って面白い。
満州事変 政策の形成過程は国連難民高等弁務官も努めた緒方氏の博士論文。1963年UCSBに提出されたものの日本語訳。事変時に国際連盟で弁明に勤めた祖父の芳澤 謙吉氏への取材や、事変時に関東軍参謀であった片倉衷氏の日記および氏への取材など、当時渦中にあった人達からの情報も元に執筆されているあたりが興味深い。日本政府が関東軍の戦争拡大を必死に抑えようとしても、結局事後承諾や正規戦以外の手法などの抜け道で押し切られていく様子が克明に分析されている。関東軍側の情報ソースが主に片倉日誌に依っているあたりはちょっと気になる。
それにしても、考えの異なる実力組織を離れたところから制御するのはそもそも難しいわけで、教育および人事で長期的に制御していく必要があるはず。そもそも石原莞爾と板垣征四郎を関東軍参謀に配置するのがまずいのではないだろうか。
人事権は基本的には陸軍省、そして陸軍大臣にあるはずなので、本国側が本気で抑制したければなんとかなるのでは。そのあたり、もう少し突っ込んで調べてみたくなった。
国際連盟のリットン調査団の一員として調査に加わったドイツ外交官ハインリッヒシュネー氏の記録。「満州国」見聞記と題してあるが、大西洋を渡ってアメリカ>日本>上海>南京>満州>北京>日本>満州>シベリア鉄道で帰国という大旅行。報告書作成の会議や調査の話はかなり省いてあり、各地で会見した政治家や有力者印象、街の様子、食事、観光(各政府の接待もあり、結構観光している。箱根、日光、泰山、明や清の帝廟)などが詳しく記述されている。日本の会席料理で、炭水化物が最後まで出てこないので、満腹感が得られず困ったという記述が二回もあった。満州内の移動では、常に鉄道沿線にびったり警察官が張り付いていて、かつ装甲列車が先導するという記述が生々しい。太平天国の乱で南京場内が破壊されて、見渡す限り平地が広がっているという記述は意外だった。
川島芳子氏の伝記。生き残っている粛親王家の人達など、当時を知る人への取材を行いつつ、執筆されている。華やかなイメージと違って、思うように行かない苦しみが見えてくるような、そんな伝記だった。最後は、日本の戸籍が手に入らなかったと言うことで漢奸罪で死刑になってしまう。山口淑子氏へのインタビューも載っていたが、彼女は偶然に日本の戸籍が手に入って助かったとのこと。養父の川島浪速が芳子を日本の戸籍に入れていなかった理由が、粛親王との微妙な取り決めにあるらしいことが仄めかされているが、そうだとしたらちょっとやりきれない。
ところで、この本の中にちらほらと笹川良平がでてくるなと思っていたら、今日のニュースで日本財団がミャンマー総選挙の選挙監視団になっていて、笹川陽平氏がミャンマーに出向いているという報道があった。いろんな繋がりがあるものだ。
船戸与一氏の満州国演義の第2巻。歴史書で読むよりも、その場に実際にいる視点で、市井の人を交えて話が動いていくので非常に臨場感がある。しかしまあ陸軍の特務機関は何でも謀略で解決。近代戦を学ばずに三国志かなにかを読み過ぎているのではないかという感じ。その辺りももう少し突っ込んで調べてみたい。